4月22日(日)
英語でまなぶコンピュータ・サイエンス
「第1回:コンピュータロジックを楽しく学ぼう」を福岡県飯塚市のフリースクール「みんなのおうち」で開催しました! ⇒開催詳細はこちら
シアトル・熊本・福岡の3会場をGoogleハングアウトのビデオチャットで中継し、3箇所の子どもたちがシアトルの現役エンジニアから同時に「英語」で授業を受ける、他にはない新しい試みです。授業向けInstagramとも表現される教育プラットフォームの「Seesaw」と、誰でも簡単にクイズをつくって遊べるアプリ「Kahoot!」を利用して学習過程を共有したり、理解度を確認しながら進めていきました。

VRでおなじみのOculusエンジニアとして活躍中!
Seesawの紹介などケンジ先生のコンピュータ教育エッセイ(全10回)はこちら
日本では2020年に小学校段階でのプログラミング教育導入が発表されたこともあり、子ども向けのプログラミングスクールやイベントなどが最近とても増えてきましたね。Kids Code Clubでも、これまで400人以上の親子、先生方にプログラミングに触れる機会を提供してきましたが、今回の取り組みは特別です。
今回実施した「コンピュータ・サイエンス(以下、CS)教育」では「コンピューターがどういう仕組みで動いているのか」というプログラミングの基礎となる部分に取り組みました。Scratchやロボット教材などと違い、コンピュータがなくても学べる「CSアンプラグド」と呼ばれる手法を用いています。

CS教育はイギリスやアメリカなど欧米を中心にすでに世界中で行われていて、小学生から学び始めている学校も多数あります。一方、日本人にとっての課題のひとつとして、プログラミング関連の一次情報は英語であることも多く、日本語に訳すことで分かりづらくなったり、学び続ける過程で必ず英語が必要になるという点も。プログラミングに限らず、よりボーダレスな時代を生きていく子どもたちにとって、英語力は必要なスキルのひとつであることは言うまでもありません。
とはいえ、はじめての子どもたちにとってはまず「楽しい」と思えることが大事ですよね!コンピュータや英語について正しく理解することを目的とせず、「コンピュータについて英語で学ぶ」という普段はできない体験を、子どもたちの心に「楽しかった思い出」として残してもらうこと、そして、シアトルや熊本の子どもたちとWebで繋がることで、「物理的な距離は克服できる」と体感してもらうことをこの取り組みの目的としました。
英語で学ぶことは子どもにとっても大人にとってもハードルが高い試みですが、未知のことに挑戦し学ぶ楽しさや、テクノロジーへの好奇心を少しでも育んでもらえたらという想いを胸に、子どもたちが「また挑戦したい!」と思える場作りを目指して、3会場のスタッフ間でオンラインで何度もやりとりを重ね準備し、いざスタートです!
まずは事前に宿題を2つ、1つはアメリカのITエンジニアや子どもたちに質問したいことを3つ考えてきてもらうこと、もう1つは日本語と英語を使った自己紹介の動画を子どもたちに撮影してもらいました。その動画をSeesawに投稿し、シアトル・熊本・福岡の子どもたちみんなで共有。当日は、他のお友達の自己紹介動画を見ることから始まりました。
その後はいよいよ、ケンジ先生の授業です。ケンジ先生や各会場の様子とスライドをスクリーンに交互に映し、英語が難しい部分は、福岡会場のスタッフが簡単に翻訳しながら授業を進めていきます。
第1部 コンピュータロジック(NOT, AND, OR)では、Seesawのアクティビティと身体を使ってのロジックゲームで楽しく学びました。ロジックゲームでは、親指をたてる=1、親指たてない=0として、ペアになって片方の人が手を使って「AND!」「NOT!」「OR!」と問題を出し、もう一人が論理演算の結果を親指の状態で答えます。
Seattle student’s video
「論理演算」と日本語で聞くと難しく感じますが、実は普段の生活でもよくある考え方で、英語が苦手でもイラストで分かるようにと工夫されたスライドで、子どもたちもすぐに理解して笑顔でゲームに取り組んでいました。

慣れてきたら今度は3人チームになって、ゲームをやっている2人を1人がカメラマン役で撮影してSeesawに投稿。それをまた3会場のみんなで見る、という体験をしました。上部の動画は、実際に子どもたちが撮影しSeesawに投稿されたものです。
普通の授業だと発表する場合は、子どもが手を挙げて先生が誰か1人をあてるという流れになりますが、Seesawのようなアプリケーションを使えば誰もが発表する機会を得られ、子ども同士でその発表を見てコメントやいいね!などフィードバックを送り合える、という素晴らしい体験ができます。
画面越しにシアトルのケンジ先生と一緒にロジックゲーム。物理的な距離を克服しました!
他の会場の様子も時々見ながら進めていました。大人も参加して大盛り上がりです!
体を使ったゲームの後は、コンピュータを使って理解を深めます。先生が出したアクティビティ(課題)に生徒がそれぞれ「0」「1」を書き込んで提出。パソコンやタブレットを一生懸命に操作し、最初はぎこちなかった子どもたちもだんだんと使い方に慣れていきました。自分がやりたいことに対しては、楽しく一生懸命になれるって素敵ですよね!
最後のおさらいとして、誰でもクイズをつくって遊べるKahoot!を使って、クイズ形式で答えることにもチャレンジしました。問題ごとに正解者のランキングが表示されるので、速押しは盛り上がりました!
第2部「アメリカのITエンジニアに聞きたいこと」では、「どうやったら海外で働ける?」「今のうちに勉強しておいた方が良いことは?」「プログラミングの勉強は何から始めたらいい?」など、GoogleやMicrosoft、Oculus(Facebook)などで働くシアトルのエンジニアの皆さんに日本語でたくさん質問をしました。普段やっている仕事のお話や、プログラミングを英語で学ぶコツ・メリット、留学などのお話も。こういった大人に子どもたちが直接質問できることはほとんどないので、大変貴重な機会です。大人も聞き入っていました。
最後に、各会場を映してもらい手を振り合いました。次回はこういった会場間のコミュニケーションの時間を増やし、もっと楽しい雰囲気にしていければと思います。
終わった後すぐに、教わったことを「AND」「NOT」などノートに書いて見せにきてくれた子がいたり、家に帰ってからもお風呂でロジックゲームをして遊んだ!という嬉しい声も。プログラミングに興味があるという女の子に「今日習ったことがいつか必ず役に立つ日がくるよ!」というと、目をキラキラさせながら帰っていきました。
コンピューターサイエンスってなんだか難しそうだし、英語もあまりわからないし、不安だなぁという思いを持った子どもたち、保護者の方もいらっしゃったと思います。私たちも出来る限りの準備をしていたとはいえ、英語のサポートや通信環境など、やはり不安がありました。ですが、はじめは恥ずかしそうにしていた子も、楽しかった、もっとわかるように英語も勉強したい、言ってくれていたので、開催してよかったと心から思いました。たった一度の経験でも、その点がきっと線になる時がくると思います。
子どもたちの英語レベルによって、どうしても理解度に差は出てしまいますが、英語が得意な子どもだけに機会を提供するのではなく、どんなレベルでも楽しく学べる場を引き続き提供していきたいとスタッフ同士で振り返り、次の開催に向けて準備を進めています。
次回もお楽しみに!
★シアトル(講師の今崎さん・SIJP)の開催レポート
https://sijp.org/eventreport042218/
★熊本(株式会社ワイズ・リーディング)の開催レポート
http://ysreading.blogspot.jp/2018/05/1.html
★熊本(特定非営利活動法人くまもとLRネット)の開催レポート
https://www.learning-square.jp/mod/forum/discuss.php?d=2080