5月19日(日)に「英語で学ぶコンピュータ・サイエンスvol.2 第2回:Computer Logic:コンピュータロジックを楽しく学ぼう」を九州工業大学 学習教育センター MILAiS(ミライズ)で開催しました!
シアトル・福岡・熊本の3会場をオンライン(ZOOM)でつなぎ、各会場にいる講師から英語でコンピュータの基礎を学ぶ「英語でまなぶコンピュータ・サイエンス」、通称「CS in Engslish」は、昨年は飯塚市のフリースクールと飯塚市役所で5回開催、今年は九州工業大学との共催で全5回を予定して実施しています。番外編も合わせると、今回でもう8回目となりました。
なぜ私たちが「コンピュータ・サイエンス」という難しい分野を、わざわざ「英語」で、国内外をオンラインでつないで教えているのか、その詳しい理由はぜひ第一回目のレポートをご覧ください!
こちらが、CS in EnglishプロジェクトをリードしているKenji先生こと今崎 憲児(いまさきけんじ)さん。VRで有名なOculusのエンジニアとして活躍中です!Kenji先生がシアトルのメディアで連載しているコンピュータ教育エッセイ(全10回・日本語)も必見です。
昨年までは、シアトルが中心となって講師を担当していましたが、今年からは福岡からもローリー先生ことLaurie Griffithsさんが講師を担当し、福岡からシアトル・熊本へ授業を配信しています。ローリーさんはなんと、現役エンジニアにも英語でプログラミングを教えているそうで、さすが、ゆっくりとしたとても分かりやすい英語で好評です!
今年から会場や機材などをご協力頂いている九州工業大学の学習教育センター MILAiS(ミライズ)は、学生自身が効果的かつ能動的に学ぶ手法を見つけ出すことを目的とし、様々な授業形態に柔軟に対応できるよう設計されている、未来型のインタラクティブ教室です。
スクリーンがなんと6面もあり、臨場感のある双方向の遠隔授業をしたい私たちにとっては、昨年から念願だった会場で、飯塚市教育委員会の皆様のご協力とともに、今回の共催が実現しました。また、参加者の方には、できるだけ気軽に手ぶらで参加して欲しいという願いから、イベントで使用するiPadも貸出して頂いています。
私たちのイベントはこのように、ボランティアスタッフや行政、学校、企業、地域の方など、たくさんの方の子どもたちへの想いが繋がり、支援という形になって実現できています。いつも本当に、ありがとうございます!
今回は「Computer Logic:コンピュータロジック」という大人でもなかなか難しいテーマでしたが、これまでで一番充実していたんじゃないかと、終わったあとスタッフも自信を持った内容でしたので、早速レポートでご紹介したいと思います!
CS in Englishでは毎回宿題が出されます。今回の宿題は「Mystery Animal」。二人一組で片方が「Are you a mammal?(哺乳類ですか?)」「Do you have claws?(爪がありますか?)」などの質問を投げかけて、片方が「Yes」「No」で答え、動物の正体を当てるゲームです。
英語と日本語で用意した質問の例を使って、家族でゲームをしている動画を撮影してもらい、Seesawを使って提出してもらいました。こちらは会場でやっている様子です、とっても楽しそうですね!(^^)
ただゲームで遊んでいるだけの様にも見えますが、「Yes」「No」で答えを導くこのプロセスも「コンピュータロジック」を理解することにつながる大切な体験のひとつになっています。
私たちのイベントでいつも使っているSeesawは教育版Instagramとも呼ばれる無料の教育用アプリで、クローズドなコミュニティで生徒と先生、生徒同士が、作品や課題の提出をとおしてコミュニケーションが取れることが特徴です。他の子どもの投稿を見て、いいねを押したり、コメントすることができます。先生にあてられた子どもだけでなく、誰もが発表や意思表示をする機会を得られます。
イベント中子どもたちは自由に触れるので、こんな風に、空いた時間にお絵かきや、授業の様子を動画で撮影して投稿してくたり、ノートを取ったりしてくれています。この子はおなかが空いてたのでしょうか(^^)
まずはシアトルからKenji先生のアイスブレイクでこの宿題を振り返りました。Mystery AnimalをKenji先生とシアトルの女の子がやり、それを見ている全員が動物を当てるというルールです。
このときはwooclapというアプリを使うことで、3会場の子どもたちからの回答(動物の名前)が、リアルタイムにワードクラウドという文字の集まりに反映しました。右下には回答数が表示されています。3会場からの参加で子どもたちの英語レベルも様々なので、日本語と英語が入り混じっているのが素敵ですね!♡が押されると文字が大きくなったり、ワードが動いたりして面白いです。答えはあの大きな動物でした!
wooclapはいわゆるアクティブラーニングのためのツールで、生徒からの意見や理解度をリアルタイムに収集・解析するための機能が多数用意されています。こちらも一定数まで利用料は無料です。英語圏に目を向けると、こういった非常に質の高いツールを無料で手軽に使うことができます。
次に、本日のテーマ「コンピュータ・ロジック」の本題に入って行きます。ここからは福岡のローリー先生が授業を担当します。
Logic Friendsというキャラクターを使って、コンピュータロジックの基礎であるAND・OR・NOTなどの「論理演算」を学んでいきました。日本語ではどうしても難しく感じる「論理演算」ですが、英語や数字で考えると意外とシンプルです。さらに楽しく遊びながら学ぶために、キャラクターや手を使いました。英語がわからなくても見てなんとなく分かるように、スライドも工夫しています。
親指を立てた状態を「1、True、Yes」、手をグーにした状態を「0、False、No」として、先生から出された条件に対して手を動かして応答します。
まず最初にキャラクターに扮したスタッフと、ローリー先生がお手本を見せ、その後に子どもたちにもやってもらいました。やっている様子を動画撮影し、Seesawにアップしてみんなで共有しました。大人でもとっさに言われると結構難しくて、保護者の方も一緒になってみんな一生懸命考えてしまいました(^^)
動画をアップしたあとは、Truth Table(真理値表)と呼ばれる論理演算を表にしたもので復習をします。Seesawで課題が出されタブレットで指で答えを書き込んで提出していきます。この投稿も参加者全員が見られるようになっています。
10分の休憩のあと、後半では「フローチャート」と呼ばれる、条件と処理の流れを表した図のことを学び、それを応用した「モンスターゲーム」というゲームで遊びました。
子どもたちにはモンスターカードが2枚と武器が3つ渡され、勇者になったつもりでモンスターと戦います。戦うためにじゃんけんをしたり、残ったモンスターの数や武器の数などの条件に従いテープの上を移動して、処理を進めていきます。子どもでも分かりやすいルールにしていますが、「条件」の部分ではしっかり前半に学んだAND・ORを使い、理解を深めることにつなげています。
モンスターバトルからは各会場に分かれて進行し、福岡会場ではCoderDojo福岡のDojo主をつとめている高丘さんがリードしてくださいました。実はKids Code Clubのスタッフの中には、私も含め、CoderDojo福岡のメンターをしている人もいます。
CoderDojo福岡ではプログラミングを、Kids Code Clubではコンピュータの基礎を学ぶ場に、スタッフ、メンターとして子どもと関わりながら、そういった行き来を何度か経験するうちに、「コンピュータ・サイエンスとプログラミングどちらもできるのが一番ですね」という話を最近するようになりました。長年のプロのエンジニアとしての視点から、コンピュータの基礎を分かっているかどうかでその後の伸びが変わってくる、という意見も出ています。
理論を学ぶだけでなく、実践する次のステップ、つまりプログラミングに進むことも大事だと私たちも思います。例えば、コンピュータ・サイエンスを学んでからScratchを始めるとスムーズにアタマに入ってくるということもあるかもしれませんし、普段Scratchで遊んでいる子どもも、より深くコンピュータのことを知ることで、創造力を発揮しやすくなるかもしれません。
モンスターバトル中は日本語も使ってスタッフが丁寧にサポートしていました。途中、処理が混み合うことがあり、実際のコンピュータの中でもこんなことが起こっているのかもね!と体験できる機会にもなりました。
コンピュータ・サイエンスを学ぶことは、身の周りにあって、しかもこれからどんどん増えていくテクノロジーをより理解し、自分のアタマで考え、有効利用できるようになることの最初の一歩だと思います。ブラックボックスのように理解することを避けるのではなく、子どもたちにはぜひ、楽しみながらコンピュータと友だちになって欲しいと思っています。
そして、先ほどお話していたコンピュータ・サイエンスから実際のプログラミングに発展させる試みとして、モンスターバトルの内容をPythonでプログラミングしたコードを用意し、各テーブルで担当スタッフから解説を行いました。
Kids Code Clubのイベントには、地域のIT企業のエンジニアの方や、九工大などのプログラミングを学んでいる学生の方に、ボランティアでスタッフ参加して頂いており、こういった解説ができるのも、スタッフのみなさんのご協力があってのことです。また、コンピュータだけでなく英語体験も楽しいものにするために、英会話教室や学校で英語の先生をされている方にもサポートしていただいています。
皆さん、子どもたちのためにと快く協力してくださり、とても感謝しています。
そして最後に、クイズアプリのKahoot!を使って、全会場で一斉に振り返りクイズをしました。英語で出されるクイズですが、なんと福岡会場から3位入賞者がでました!保護者の方も自分のスマホを取り出し、一緒になって参加されていました(^^)
一緒に学んだシアトル、熊本のお友だちともこれでしばしお別れです。また会う日まで!
福岡会場では最後のおまけに、高丘さんからデジタル回路学習キットの紹介がありました。授業でも学んだ「NAND」の回路2つで1ビットメモリを作ったそうです。コンピュータのメモリはこれを集積しているだけということで、こうやって目に見える形になってしかも自分でつくれるというのはとても面白いですね!
子どもたちが帰り際に熱心に見に来ていました。実はこの回路を含め、この日学んだことはMinecraftのレッドストーンでも再現できるということで「今度やってみよう!!」と好奇心が刺激された子どももいたようです。実は私もその1人です(^^)
今回は全体的に、保護者の方も一緒になって熱心に学ぼうとする風景が見られました。子どもが一生懸命考えて手が止まってしまっていると、ついつい大人が手を出してしまいがちなので、保護者の方の関わり方についてどのようにするべきか、私たちも毎回とても考えているのですが、子どもと大人が一緒に学ぶ機会はとても価値があると思いますし、なんとか良い形がつくれないかと試行錯誤をしています。ぜひご意見をお寄せ頂ければと思います。
最後に、アンケートで頂いた声をご紹介したいと思います。満足度は5点中4.6点でした!
子どもたちからの声はこちら
・途中の待ち時間で、ミニゲームやお絵かきが楽しめたので良かったです。
・初めはむずかしくて、なかなかわからなかったけど、やっていくうちにわかってきたので良かったです(^-^)v
・ピザ食べたい
・コンピューターロジックを知った★
・ゲームなどの楽しいことが、いろいろできて、たいくつしないで、べんきょうすることができました。
・楽しかったです。次も楽しみにしています。
・同時通訳がほしいです。
・英語やプログラミングがある程度わかるひとには楽しい内容だったと思います。どちらかができない人には理解が難しい内容でした。
・モンスターバトルでのコンピュータの説明がわかりやすかったです
・モンスターバトルが楽しかったです!ミステリーアニマルも楽しかったです。
・各テーブルでゆっくり丁寧に教えてもらえたのでよく理解できた
・モンスターのゲームが楽しかった
「ピザ食べたい」は実はシアトルの子どもたちは時差で夜の参加なので、休憩中にピザを食べているんですね(^^)それを見てのお声でした。スポンサーを募集しております☆
保護者の方からの声はこちら
・親子ともに英語力不足でしたが、楽しかったです
・毎回宿題に苦戦していますが、楽しく参加させて頂いています♪
・その場ではうっすらとしか理解できていませんが、家に帰って復習すると納得できているようです。次回も楽しみにしています。
・とても楽しかったです。また参加したいです。
・カラフルな質問 可愛いキャラクター ゲーム感覚でできるところが良かったです
・最初の始まりが… だったのと、これは何の為に・どういうところで役立つ内容なのかを少し詳しく説明をしてほしかったです。
・家庭でも見直せたり、一緒に参加した子達の答えも見れるところが良いです。
・子供の脳って柔らかいっつ!今日の内容を知識として知ってることは大きいと思います。
・充実していました。ボランティアさんにも感謝です。多くの子どもたちが参加できること、応援させていただきます。
・分かりやすい内容で、親も一緒になって学ぶことができました!ゲームを通して理解を深められたのもすごく良かったです!
・前回今回で2回目の参加ですが特に今回はサポートの方がじっくり丁寧に教えてくださって理解が深まったように思います ありがとうございました!
・サポートの方があきらめずに丁寧に教えてくださって有り難く感じました!
・思いのほか、進行が早かったので、ついていくのに大変でしたが、退屈する事がなくよかったです。
・帰りに図書館に寄り、こどもと一緒にプログラミングについて書かれた本を読みました。思い返してイベントの話をしていました。体を使ったり、競いあったりといった体験型なのがすごくいいと思いました。
最初に技術的な調整でお待たせすることがありました。機材なども少しずつ整え、今後ひとつずつ改善していきたいと思います。こちらもスポンサーを募集しております☆
くまもとLRネットさんが担当された、熊本会場(熊本高専)のレポートも詳しく書かれていますのでぜひご覧ください(^^)ベン図の解説などもされたそうです!
次回は6/30、なんと福岡市で特別編を開催する予定です!後期の募集も夏あたりに行います。LINEに登録のうえ、お知らせを楽しみにお待ちください。また、直近では6/8にCoderDojo福岡も開催されますので、ぜひfacebookページでイベント情報をごらんいただき、お気軽にお越しください(^^)
それでは次回をお楽しみに♪
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