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2026/9/14

身近な家電からAIへ!研究開発のお仕事の舞台裏をのぞいてみよう【第11回ITキャリアイベント開催レポート】

Kids Code Clubでは、子どもたちがITやクリエイティブの仕事に出会う「ITキャリアイベント」を開催しています。プロのお話とお仕事体験を通じて、日々の活動と将来のつながりを見つける機会です。

第11回のテーマは「家電や最新AIを動かす研究開発のお仕事」。仁泉大輔さん(だいちゃん)をお迎えし、2026年8月22・27日の2回、Zoomで開催しました。(イベントの募集詳細はこちら

身近なトースターからAIまで、ものづくりの舞台裏に触れた時間をレポートします。

ゲーム好きの子ども時代から、研究開発の道へ

お話は、仁泉さんの子ども時代から始まりました。ゲームが好きで、その仕組みに興味をもち、小学生の頃からプログラミングを始め、パソコンの中の仕組みまで調べていたそうです。

中学校にあまり通わなかった時期や、1年遅れて高校に入学した経験も紹介。大学ではバンドやプログラミングなど、好きなことに取り組み、コンピューターと音楽への関心から楽器メーカーへ就職しました。電子楽器、携帯電話、家電の開発を経て、今は音や画像を理解するAIの研究開発に携わっています。

初めから一直線の道だったわけではないけれど、好きなことが次の仕事へとつながっていく。技術の話の前に、一人の大人が歩んできた道のりを知る時間にもなりました。

おいしいトーストの裏側にある、試行錯誤

前半は、家電を動かす「組み込みプログラミング」のお話です。紹介されたトースターの内部には、小さなコンピューター「マイコン」が入っていて、温度を測りながらヒーターをつけたり消したりします。

家電を開発する仕事は、プログラムを書くことだけではありません。「どんなトースターにしたいのか」を考え、製品の仕様をつくることにも関わります。仁泉さんは、箱の大きさやヒーターの本数、どんな焼き方にするのか、クロワッサンも焼けるようにするのかなど、決めなければならないことを挙げながら、必要なことを本などで調べ、製品企画にも関わったことを紹介しました。

画面には、焼き加減の違うパンが並ぶ写真が登場。おいしく焼けるよう試す一方で、人が触れる部分の温度や部品の寿命にも気を配り、調整を繰り返したそうです。

プログラミングは、画面の中だけで完結する仕事ではありません。試行錯誤の先に製品が出来上がり、使う人に喜んでもらえる。身近な家電にも、そんな仕事の工夫と喜びが詰まっていました。

AIの研究開発って、どんな仕事?

後半は、AIの仕組みと研究開発のお仕事へ。仁泉さんは、たくさんのデータを用意し、プログラムを準備して、AIの本体となる「モデル」を訓練する基本的な流れを紹介しました。文字や画像、音などのデータを「トークン」という単位に変えて扱うことや、現在のAIが、これまで世界中で発表されてきた研究成果をプログラムとして取り入れ、組み合わせながら発展してきたことも説明しました。

では、こうしたAIを実際につくる人たちは、どんな仕事をしているのでしょうか。

「研究者(リサーチャー)」と「エンジニア」という二つの仕事を紹介しました。

研究者は、新しい仕組みを考えたり、発見したりする仕事です。まずはさまざまな研究をたくさん調べていく中で、疑問をもったり、もっと良くできるのでは?と考えます。そこから長い時間をかけて実験を繰り返し、よい結果が得られれば論文にまとめ、学会などで発表します。学会では、自分の研究についてほかの研究者から意見をもらったり、興味のあるテーマについて話し合ったりすることも、研究者の仕事の面白さだと仁泉さんは話しました。

一方、エンジニアは「こんなAIをつくりたい」というものを実際に形にしていく仕事です。実現したいものをプログラミングし、AIに必要なデータを用意して、結果を確かめる。その結果をもとに、また試すという作業を何度も繰り返します。AIの性能は簡単には上がらず、新しい技術も次々と登場するため、それを追い続ける難しさもあるといいます。

だからこそ、大きなAIをつくるときにはチームワークも大切です。一人ひとりが持つアイデアを組み合わせたり、みんなで協力してたくさんのデータを用意したりすることで、一人では難しいことにも挑戦できます。そして、うまくいったときには「できた!」という喜びも仲間と分かち合えます。家電の開発でもAIの開発でも、ものをつくるうえでチームワークが大事になると話しました。

仁泉さんは現在、さまざまな企業から集まった仲間と、日本の産業に役立つ国産AIの研究開発に取り組んでいるそうです。「オールジャパンみたいな感じ」と話しながら、いろいろな仲間とコラボレーションして開発を進めていることを紹介しました。最先端のAIも、たくさんの人たちの積み重ねによってつくられていることが伝わってきました。

クイズとなぞなぞで「AIに学ばせるデータづくり」を体験!

体験ワークでは、AIを使ったクイズとなぞなぞづくりに挑戦しました。子どもたちからもプロ野球やドラえもんなど、さまざまなテーマがチャットに投稿され、AIを使ってクイズにしていきました。

クイズを作る中では、AIが間違った答えを出すことも話題になりました。仁泉さんは「時々本当に間違いがある」と話し、ほかのAIにも同じことを聞いて確認する方法を紹介しました。

続いて挑戦したのは、なぞなぞづくりです。ChatGPTやGemini、さまざまなモードを切り替えて実験。さらに、題材を変えたり質問の仕方を工夫したりしながら、なぞなぞを作っていき、「聞き方も重要」だというアドバイスもありました。

ワークの最後には、この体験がAI開発の仕事とどうつながっているのかが紹介されました。AIには大量の文章や画像、音などのデータを与えますが、それだけでは理解できないこともあります。そこで、「質問・解答・理由」をセットにしたデータなども学ばせていくそうです。今回のワークは、そんな「AIに学ばせるデータ作り」の体験だったと紹介されました。

アンケートでは、こんな気づきも寄せられました。

「クイズを作るときは自分がどういうクイズを作りたいのかを明確にすることが大切だなと思いました。だから、これからは自分は何がしたいのか。そして、何がやりたいのかを分かっておくことが大切だと思いました。そうすることで、AIにサポートしてもらいながら、いろいろなことができるかな、と思いました。」

AIが進化する時代に、人だからできること

講座の終盤では、AIがさらに進化していく中で、人はどんな役割を担っていくのかについても話が広がりました。

AIがプログラミングをしてくれる時代になっても、それが自分たちの欲しいものなのかどうかを決めるのは人です。仁泉さんは、こう話しました。

「僕たちが欲しいものかどうかっていうのは、僕たちにしか決められないんですよ。」

質疑応答では、「これから伸びる仕事は?」という質問も。仁泉さんは、音楽の演奏や絵、料理などを挙げながら、「人間の感性」に関わる仕事について紹介。「何かをコツコツと考えたりして作ってきている人たち」は、これからも重要なのではないかと答えてくださいました。

アンケートでは、今回知ったエンジニアの仕事を、自分の将来や「やってみたいこと」と結びつけて考えた感想も寄せられました。

「エンジニアのお仕事は、あまり詳しくしりませんでしたが、今回の講座を受けて、AIに知識を与えたりして、育てていくというお仕事だということが分かりました。私は将来、デザインなどを描く職業に就職したいと考えているのでAIに負けないような新鮮なデザインを考えてみたいなと思います。」

AIについて知ることが、そのまま「AIの仕事を目指す」ことだけにつながるわけではありません。自分の好きなことや将来やってみたいことと、新しい技術との関わりを考えてみることも、大切な気づきのひとつです。

日々取り組んでいるプログラミングや音楽、絵などの活動が、社会や将来の仕事とどうつながっているのか。プロの経験に触れ、一緒に手を動かしてみることを通して、子どもたちが自分なりのつながりを見つけられる機会を、これからも届けていきます。

仁泉さん、参加してくださったみなさん、ありがとうございました!


「ITキャリアイベント」は、公益財団法人ベネッセこども基金の「2025年度経済的困難を抱えるこどもの学び支援活動助成」の支援を受けて活動しています。

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