KCC JOURNAL

KCCジャーナル

2025/3/26

親子で取り組んだ最新AI技術 ー プログラミングや勉強での積極活用で不安解消に!

『親子で体験!1分間プログラミング』ワークショップが今年1月から3月にかけて開催され、50組の親子が最新AI技術に触れる貴重な機会となりました。参加した小中学生のほとんどがAI初心者であり、保護者からもAI活用への不安の声が多く聞かれる中でのスタートでしたが、実際に体験を重ねるうちにその懸念は次第に薄れていくことに。子どもたちは回を追うごとにAIスキルを向上させ、日々進化し続けるAI技術を敬遠するのではなく、積極的に向き合うことで「本当のAIの姿」を理解できることを、参加者全員が実感した充実の3か月間となりました。


AIは親子で取り組むべき本当の理由

今回のワークショップ(通称:1プロ)は3回にわたってオンライン講座(各1時間半)を開催し、AIツールの使い方をハンズオン形式で学ぶ一方で、Kids Code Clubが開発したテキストコーディングの入門チュートリアル、「サイレントリアル」を自習してJavaScriptによるプログラミングに慣れてもらうという流れで進みました。

1プロの講座は親子参加が条件で、子どもの多くが3年生以上の小学生です。

初回で多くの時間を割いたのは「なぜAIは回答に間違いがあるか」をしっかりと理解することです。AIの弱点や問題点をきちんと把握することでAI利用への不安を和らげていくことがとても大切なことだからです。その上で、AIは子どもたちが自分で使う単なるツールではなく、保母者も参加してAIの活用を考えたり話したりする機会を与えてくれるものである点を強調しました。

第1回目の詳細はこちらのKCCジャーナル記事をご覧ください。

まずは「創る楽しさ」が味わえるAIプログラミング

今回のワークショップを通して利用したAIはGoogleのGeminiです。昨年末にGemini 2.0 Flashが発表されて、AI Studioを含めて格段に使いやすくなったのが理由です。

第2回目では、簡単なアニメやゲームをp5.jsで作るためにAIに質問をするにはどうしたらよいかを勉強しました。

参加した子どもたちには基本的なテキストコーディングはサイレントリアルに取り組んでもらうことで慣れてもらい、講座の中では実際に「サッカーゲーム」を作ることに挑戦してもらいました。ただ、「ゲームを作って」だけでは何も出来ないので、自分の頭の中にあるゲームをどうイメージして、それをどうAIを使って実現していくかについて「コツ」を紹介しました。

さらに、単に盲目的に使うだけではなく、生成されたコードをどうやって自分で勉強していくかについてもしっかり理解していきました。

こうしてAIを使うと簡単なアプリならかなりの部分を作ってもらえます。そんな状況から保護者が「これでは全く勉強にならないのでは」と疑問を持つのは当然です。しかし、AIを使って作品を作る第一の目的は、プログラミングで創る楽しさをまずは感じてほしいということです。AIだけでは決して自分が望むものを完全に作ることは難しく、最後はやはりコーディングの知識が必要となります。創る楽しさをいったん味わったら「あとは自分で」とプログラミングを学習するモチベーションも上がってきます。もちろんAIがしっかりとサポートしてくれるわけで、これが新しいプログラミング学習の導入の姿だと考えます。

勉強への活用方法は無限大!

そして最終回はAIを勉強に活用する方法についてです。

AIを勉強に利用する方法は数えきれないほどあります。教科書や問題集などに書いてあることを理解するだけではなく、様々な角度から問題を作成してもらってさらに理解を深めることも簡単にできてしまいます。

ワークショップでは小学生の理科の教科書にある問題を例にとって考えてみました。そこでの問題は「どうして暖かい空気が上に上昇していくのか」を問うもので、その模範解答は「暖かい空気は冷たい空気より軽いから」です。テストで正解するだけならそれでよいのですが、もう一歩踏み込んで「そもそも、どうして暖かい空気のほうが軽いのか」という疑問も湧いてきます。これまでなら踏み込んだ疑問に答えるには図書館で本を借りて調べたり、知っている人に聞いたりと一苦労があったのですが、AIに聞けば一瞬で教えてもらえます。

さらに理解を深めるために「図解」もAIに頼むことができます。今回はClaudeの3.7 Sonnetを使ったデモを行い、「暖かい空気がなぜ軽いのか」を理解するアニメ図解を生成してもらいました。

こうして出てきた図解アニメがこちらです。単なる静止画像ではなくアニメで空気の粒の動きを示すことで「密度」と「質量」の説明もわかりやすく可視化できます。

「分かるため」より「考えるため」のAI活用

勉強だけではなくどんな目的でもAIは回答を提示してくれます。そうであればプログラミングも勉強もすべてAIにやってもらえばよいかというと当然そうではありません。AIを利用する一番の理由は「考える機会を与えてくれる」からです。ここをしっかりとおさえることが、単に「宿題お助けマシン」としてAIを使うことの無意味さを理解してもらうにはとても重要なことなのです。

今回の講座を通していかにAIがいろんなタスクをこなしてくれるかを子どもたちも保護者も身にしみて感じとったと思います。ただ、そこから「人間 < AI」という後ろ向きな結論に終わってはいけないのです。考えることにAIを使いこなすことでAIを超えていく重要性を今回の講座の参加者全員に強く訴えました。

❝近未来の学習❞はもうすぐそこに❞

最後の高校生メンター(ボランティア)デモでは、AIと会話しながらScratchのプログラミングを教えてもらう近未来的なものです。海外で教育を受けてきたサラさん(高校3年生)がGoogle AI StudioのScreen Sharing機能を利用して、「Scratchキャットをクリックしたら回転させる方法を教えて」と英語で尋ね、そのやりかたをステップバイステップで実装していきました。セッション後、アメリカから参加のRさんが即座に挑戦してくれていました。サラさんのデモとRさんの取り組みの様子をビデオにまとめましたので是非ご覧ください。

二人とも英語はネイティブなので圧倒されてしまいますが、Geminiの日本語性能が向上したら同じことが日本語でもできます。どんな子どもでもAIとおしゃべりしながら勉強するような日常ももうすぐ目の前に来ていることを参加者全員が実感したことと思います。

参加者へのアンケートから

今回のワークショップで注目したのは「AI利用に対する不安」です。保護者自身もAIを使いこなす時間もないため漠然とした不安があるのは当然です。今回の講座を通して深くAIの特質や活用方法を理解することで多くの参加者の不安が緩和されていった様子がアンケートからも読み取れました。

日々新しいニュースが飛び交うAIとあって、多少AIに触れただけでは完全に不安が解消されないという側面もアンケート結果には反映されています。やはり重要なのはしっかりとAI技術について親子に対して継続して伝えていかなければいけない点です。AIについては今後も様々な形で啓蒙活動を続けていきたいと考えています。

JavaScriptで多種多彩な作品作り!

今回はプログラミングによる作品作りそのものはほとんど宿題としたにもかかわらず、多くの子がAIを活用してJavaScriptのp5.jsを使って作品を作ってきて紹介してくれました!

単純なゲームでも細かいところにオリジナリティが感じられ、頭の中にあるデザインのイメージを言葉にしてAIに伝えた様子が垣間見られました!

参加者の声(第3回目アンケートより)

【子ども】

  • すごく世界が広がりました!いろいろ試してみたいです。

  • 楽しかったです。いろいろ考えてAIを使いたいです

  • 3回ともとても分かりやすく、これならやることができそうと思わせてもらえました。ありがとうございました。

  • サイレントリアルがとてもおもしろかったです

  • 画像からテキストを読み込んで解説してくれるのは、とても便利だと思いました。

  • ジェミニの言ってることが少し難しかった

  • 音声で指示をしようとすると正しく認識してくれないことが多かったです。

【保護者】

  • 勉強にもたくさん活用できるし、日々ものすごく進化していることがわかりました。もっと積極的にどんどん使いたいと思います。

  • コードを書けなくてもGeminiを使ってp5.jsでゲームを作ることができ、感動しました!子どもと一緒に試行錯誤しながらゲーム制作に挑戦し、親子でとても楽しい時間を過ごせました。

  • AIの便利さが、回を追うごとに身に染みてます。 色々な場面で使ってみたいと思いました。

  • AIは苦手と言ってる場合ではないとあらためて実感しました。子供がAIを使うことの不安は、どちらかと言うと日本でデジタル教育が進んでいないことへの怖さを感じました。どう扱っていくか本当はかなり議論していかなくてはいけないのに。

  • 来年から子どもが中学生になります。勉強でつまずいたときに、Geminiを活用して自分で調べ、学ぶ力を身につけてほしいと感じました。とても参考になるイベントでした。

  • AIは一般的に年齢制限もあるし子供にAIはよくないとイメージされていて、そこに自分が引っ掛かっていたのがウソみたいです。 勉強にもどんどん役立ててほしい。自分が疑問に思ったことをAIと簡単にわかりやすく理解し、それを周りの人にも教えられるようになってほしい。

執筆:板垣政樹(Kids Code Club理事)

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