KCC JOURNAL

KCCジャーナル

2025/4/30

【2024年度事業報告レポート】複合的困難を抱える子どもへのデジタルスキル学習支援

Kids Code Clubでは、家庭環境に左右されることなく、子どもたちがITやプログラミングを自由に学べるよう、パソコン、モバイルWi-Fi、オンライン学習環境をセットにして無料で提供する「デジタル探求プログラム」を実施しています。

プログラムに参加すると、月3回以上放課後プログラミングクラブに参加してデジタル活動を行いますが、従来のメニューでは子どもたちの興味関心を十分に満たせずに意欲が低下してしまったり、ITを安心して活用するうえで不可欠なデジタルリテラシーを学ぶ機会が不足していました。

そこで2024年度は、プログラムに参加して2年以上経過するご家庭を対象に、子どもたちが楽しく学びを継続して、将来に向けてステップアップできるよう後押しする、多面的な支援を行いました。

本報告では、本事業の主な成果と今後の展望についてお伝えします。


デジタルシティズンシップ講座:親子で学ぶ「安心してデジタルを使う力」

子どもがインターネットを安全に活用できるよう、保護者とともに参加できるデジタルシティズンシップ講座を4回開催し、4名の専門家のもとで、のべ303名(実人数81名)の親子が学びました。

テーマは、プライバシーとセキュリティ、対人関係、ネットいじめ、著作権など、今まさに必要とされる内容ばかり。講師から一方的に講義を受けるだけでなく、親子で話し合って対話するワークを設けることで、親子の相互理解が深まり、子どもを一人の人間として尊重するように変化した保護者もいました。

親子の満足度は93.5%で、97%の子どもが「PCでもっといろんなことに挑戦したい」、76%の保護者が「PC利用ルールを親子で話す機会が増えた」と回答。参加した保護者からは「子どもと改めて向き合う良い機会になった」「インターネットトラブルを把握できた」といった声が寄せられました。録画視聴も活用し、多忙な家庭にも参加しやすい形式を工夫しました。

また、この講座を通じて新たな講師とのつながりや、他団体との連携が生まれ、教材の企業活用など、外部への波及効果も生まれました。

デジタルシティズンシップ講座の詳しいレポートはこちら

キャリア教育イベント:子どもたちが「未来」を描く場

子どもたちに、今学んでいるITスキルが将来の仕事とつながることを実感してもらうため、IT・クリエイティブ業界で活躍する大人との対話イベントを3回開催しました。

リアルタイムと録画視聴を組み合わせた参加形式とし、9名の講師と、のべ118名(実人数44名)の子どもがオンラインで交流しました。「普段の活動が将来につながっていると感じる」「ITを使った仕事に興味を持った」と回答した子どもは9割を超え、将来の選択肢を具体的に考えるきっかけとなりました。子どもからは「人とのコミュニケーションは苦手だけれど、お仕事で出会いがあるのは素敵だなと思いました。」という声もありました。

講師には多様な職種の方々が協力くださり、多様な子どもと接する上での注意点を事前の打ち合わせで共有したり、リハーサルするなど準備サポートも丁寧に行うことで、講師の方と子どもたちの双方が、安心して参加できる環境を整えました。また、チャットやLINEをとおした質疑応答などで、双方の距離を縮めることができ、ITキャリアへの興味や理解を深めていました。講師の方も、自分の仕事をあらためて振り返る機会になったようです。

詳しいレポートは下記をご覧ください。

第1回:Webデザイナー、システムエンジニア、プロダクトデザイナー
https://kidscodeclub.jp/careereducation-202409

第2回:クリエイティブディレクター、半導体開発エンジニア、写真・映像クリエイター
https://kidscodeclub.jp/careereducation-202411

第3回:ゲームクリエイター、音楽家、マーケター
https://kidscodeclub.jp/careereducation-202502

ステップアップ教材:子ども自身が選び、創る学び

活動開始から2年以上経ち、興味関心が広がっている子どもの学習ニーズに応えるため、より専門的なITスキルを学べるステップアップ教材を新たに開発しました。子どもへのヒアリングをもとに、Minecraft応用、Roblox Studio、p5.js、Scratch検定、Tinkercadの5分野・58教材を開発し、自分が好きなものを自由に選べるようにしました。正解が決められているものではなく、できるだけアレンジの余白がもてるよう工夫したり、自分のペースでチャレンジできるよう配慮しています。

提出作品は356点にのぼり、「できた!」という実感を積み重ねる機会となりました。動画や画像を多用した教材は、参加した34名の子どものほぼ全員が「分かりやすい、楽しい」と評価してくれています。子どもからは「ちょっと難しいこともどんどんチャレンジできる」という声もありました。

教材の一部は「キッズコードレシピ」で無料で一般公開されていますので、身近なお子さんに紹介していただき、ぜひご活用ください。

継続的な伴走支援:子どもに寄り添い、成長を支える

前述のステップアップ教材をベースにして、親子への定期的なオンライン面談や自習会、LINEやGoogle Classroomでのサポートなどを実施して、子ども一人ひとりの「できるようになりたいこと」や興味に応じた伴走支援を行いました。

今回はじめて、子どもたちがScratch検定を受験し、挑戦したのべ7名全員が合格(4級1名、3級2名、2級2名、1級2名)しました。そのほか、継続的な自己学習によって「できなかったことができるようになった」という声が多数寄せられるなど、着実な成長が見られました。

保護者や子どもからは「スタッフに作品を見てコメントをくれるのがうれしくて、何度も読み返している」「やる気が戻ってきた」といった声もあり、ひとつひとつの作品へのコメントや日々の声かけの継続が、子どもたちのモチベーションを支えたようです。子どもたちの多様な興味・関心に合わせた学習環境づくりに向けて、大きく前進することができました。

数値で見る子どもたちの変化

当事業の前後で実施したアンケート結果からも、子どもたちの変化は明確に表れています。

  • 「失敗や間違いを恐れない」子どもが40%増加

  • 「新しいことを学ぶのが好き」と感じる子どもが33%増加

  • 93.8%の子どもが「なにかにチャレンジして『できた!』と思うことが増えた」と回答

  • 71.9%の子どもが「誰かと一緒に学んだり、コミュニケーションが増えた」と回答

  • 83.9%の保護者が「親子の会話や関わりが増えた」と回答

※アンケートは当事業に通年で参加した子ども32名、保護者31名の回答を集計

今後の展望

今回取り組んだ、デジタルシティズンシップ教育、ITキャリア教育、多様な教材提供というこの3つの柱によって、単なるプログラミング学習だけでなく、これからのデジタル社会において必要な、総合的なデジタルスキルを育める機会を提供するという、Kids Code Clubのの新たな価値を見出すことができました。

今後、2024年以降に新たに貸与を開始したメンバーに対しても、同様の学習支援をアップデートしながら継続して提供していく予定です。あわせて、当団体が持つ教材やノウハウを、他の団体や地域コミュニティなどでも活用できるよう整備を進めます。

また、今回の事業でご協力いただいた講師や専門家の方々など、子どもたちの学びを支えるの輪も広がってきていることから、今後は大人も含めた学び合いの場へのアップデートを目指し、サポーターコミュニティの構築を進めていきます。後日、協力してくださるプロボノの募集を開始しますので、ぜひご参加ください。

本レポートを通じて、子どものデジタル学習支援の可能性や、連携の意義を感じていただけましたら幸いです。興味のある方は、ぜひ気軽にお問い合わせください。


★本事業は下記の助成を頂いて実施しています
<デジタルシティズンシップ講座以外>
こどもの未来応援基金の支援を受け実施しています
<デジタルシティズンシップ講座>
・特定非営利活動法人 日本NPOセンター様「安心安全なデジタル環境づくり助成プログラム
・公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン様「子ども・地域おうえんファンド

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